栗仕事2018~2019
秋の風物詩、栗仕事
私は栗の渋皮煮が好きなのですが、なかなか市販品が手に入らず、また売っていても好みの味より洋酒が強過ぎたり、甘過ぎたり、と納得のいくものとなかなか巡り会えないので、もうこれからは毎年自分で作ることにしました。
昨年は2kg購入したのですが、あっという間に使い切ってしまったので、今年は4kg買ってもらいました。
結構な量です。
黙々と栗を剥く
栗の皮むきには色々な流派がありますが、私は基本的に膂力がないので、すぐに課金して道具に頼ることにしました。
去年から愛用しているくりくり坊主という皮むき機はとても使い勝手が良くておすすめです。
とてもよく切れるので、渋皮までざっくりいってしまう時があるくらい。
基本的には渋皮を残す気持ちで鬼皮だけ剥いて、傷付けてしまったら栗ご飯用に回す、という方針で作業を行います。
めちゃくちゃ時間がかかるので、テレビの前に腰を据えて、Amazon primeで映画を観ながら作業しました。映画2本半観れた。
手が汚れるのも嫌なので、作業中は両手にニトリルゴム手袋を装着しています。滑りにくいので怪我防止にもなる。
プレーンの渋皮煮
工程5の後に一晩寝かせているので、灰汁抜きと加糖して煮込む作業で3日かけています。
最初の皮剥きと灰汁抜きさえ休日に終えてしまえば、あとは特に手間はかかりません。
栗が暴れないよう、弱火で根気よく作業するのがポイント。
材料
- 栗 鍋に収まる範囲で好きなだけ
- 砂糖 栗の重量の1/2量
- 重曹 大さじ3
作り方
- 栗の鬼皮を剥く。傷が付くと煮崩れるので注意。剥いたら水につけておく。
- 栗とかぶるくらいの水、重曹大さじ1を鍋にいれ、灰汁をとりながら弱火で10分煮て洗う。3回繰り返し、最後に筋や汚れが残らないように掃除する。
- 水だけで5分煮て、一晩そのまま置いておく。
- 栗を洗い、かぶるくらいの水と砂糖1/5量を入れて煮る。
- 10分おきに砂糖を加える。砂糖の量3/5までこの作業を行ったら、一旦火からおろして完全に冷ます。
- 再び火にかけ、残りの砂糖の半量を加えて煮る。10分煮たら火を止め、完全に冷ます。
- 最後に残りの砂糖を加えて10分煮て完成。
コーヒー味の渋皮煮
上記レシピの工程4で煮る水を濃いめのコーヒーにするだけ。
コーヒーで煮るのでプレーンより少し皮が締まります。
今年はコーヒーにしましたが、紅茶で煮ても良いかも。
ラムなど加えて洋酒風味にすることも考えましたが、私も含めてお酒が得意でない身内が多いのと、お菓子作りに使う時に別で添加すれば良いと思ったので今年は試していません。
お酒が飲めればいろいろ試して見ても面白かったかもなぁ、といろんな料理の時に思います。
瓶詰め
瓶詰めして脱気したところ。
ラベルメーカーで作ったシールを貼るとそれなりの感じになって可愛い。
カインズで売っていた保存瓶を使いました。
価格もサイズも手頃でよかった。
その年の栗のサイズにもよりますが、今年はひと瓶に10~12粒程度入りました。
栗おこわ
渋皮煮用に鬼皮だけを剥こうとしても、不意に傷つけてしまうことがあるので、そういった栗は甘露煮と栗ごはんにします。もち米の食感が好きなのでうちはおこわ派。
分量
- 米1.5号
- もち米0.5号
- 塩 小さじ1
- みりん、酒 各大さじ1
- だし昆布10cm
- 栗200g
上記分量をいつもの水加減でそのまま炊飯するだけです。
秋の風物詩、秋刀魚と一緒に。
塩焼きにするだけなので、栗仕事に忙しい日でも簡単美味しくて良い。
渋皮煮入のパウンドケーキ
珈琲味の渋皮煮は、後日パウンドケーキに入れました。
市販されている栗の入ったパウンドケーキは洋酒が強いものが多いのですが、自作すると加減が効くのでお酒が苦手な人でも大丈夫です。
今回は珈琲風味の渋皮煮を使ったので、ほんのりモカテイスト。
春に陶器市で買ってもらったお気に入りの波佐見焼に乗せて。
材料
- 薄力粉 100g
- アーモンドプードル 20g
- ベーキングパウダー 3g
- バター 100g
- 砂糖 75g
- 卵 2個
- 渋皮煮 好きな量(今回は瓶半分)
- 渋皮煮のシロップ 大さじ2
- ラム酒 大さじ1
作り方
- バターに砂糖を分けて加えながらハンドミキサーで混ぜる。
- 卵も分けて加え、分離しないように注意しながらハンドミキサーで混ぜる。
- あわせてふるっておいた粉類の1/3量を加え、ハンドミキサーで混ぜる。
- シロップ、ラム酒を加えてさらに混ぜる。
- ゴムベラに持ち替え、残りの粉を2回に分けて加え、練らずにさっくり混ぜる。
- 使い捨てパウンド型に生地を薄く流し込み、渋皮煮を並べる。
- 更に上から生地を流し込む。この時、型の八分目までに収めること。
- 170度のオーブンで40分焼く。
最初に全ての材料を計量しておけば、あとは加えて混ぜていくだけなので簡単です。
渋皮煮のシロップでほんのりモカテイストになりますが、もっとしっかりコーヒー味にしたければ、インスタントコーヒーを足してもいいかもしれません。
モンブラン
クリスマスの記事に詳細を書きましたが、プレーンの渋皮煮はモンブランにしました。
一から作るとやっぱり格別で、和栗だけを贅沢に使っているのでとっても美味しかったです。
手間はかかるけれど作る価値があります。
甘露煮は難しい
第一期栗仕事の時に栗の甘露煮も作ったのですが、ほくほく系の栗だったので煮ている時に実が割れてしまい、かなり細かくなってしまいました。
味は美味しかったのでそれはそれで瓶詰めにしたのですが、お正月の栗金団用に美しいものを用意したかったので、少し研究してからリベンジすることにしました。
しかしながら割れる
めちゃくちゃ慎重に煮ても割れたので、今回のおせちの栗金団は栗オンリーで茶巾にすることにしました。
そうなると割れた甘露煮と作りかけの甘露煮が余るので、栗蒸し羊羹を作ってみることにしたのでした。
栗蒸し羊羹
羊羹は今回初めて作りました。
冬なので寒天で冷やし固めるタイプのつるんとした羊羹でなく、蒸して作るむっちりした食感の羊羹を目指しました。
あまり甘すぎるのが得意ではないので、なるべく加糖せず、塩をしっかりめに効かせることにします。
また、何かの折に使えるかも!とテンションが上がって特に用途もなく買ってあった葛粉も使うことにします。
そうして完成したレシピです。これはもうほぼ決定版で良いかも。
材料
【羊羹】
-
こしあん 250g
-
葛粉 5g+水 大さじ1
-
栗甘露煮シロップ 大さじ2+水 大さじ1
- 塩 小さじ1/2
- 薄力粉 15g
【コーティング】
- 水 60㎖
- 寒天 1g
- 砂糖 50g
- 金箔 好みで
作り方
- こしあんと薄力粉を合わせてこねる。
- 水で溶いた葛粉を加えて更にこねる。
- 水で希釈したシロップと塩を加え、ゴムベラで練る。
- 刻んだ甘露煮を加えてまぜ、型に流して表面をならす
- 飾り用の甘露煮を並べる
- 蒸し器で50~60分蒸す
- 金箔以外のコーティングの材料を鍋で合わせ、蒸しあがった羊羹に塗る
- 好みで金箔を散らし、粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やす
あんは市販の甘さ控えめタイプのこしあんです。写真はシロップを加えてゴムベラで練っているところ。
全体に均一に、滑らかに混ざるようにボウルに擦りつけるようにすると良いです。
シロップは、「甘い方が良いな」という場合は希釈せずストレートで使っても大丈夫です。
また、塩の量も好みで加減します。小さじ1/2だとしっかり味が締まります。
甘露煮の比較的無事なものをトッピングしました。4×4には不足だったので微妙にずらして帳尻を合わせています。
蒸しあがり。
本来なら流し缶で作るのが理想ですが、自宅にないのでスクエアタイプのケーキ型で作っています。底取れタイプではあるものの、型離れが不安だったのでクッキングシートを敷いています。
そのまますぽっと取り外せて便利だった。
寒天でコーティングして金箔をかけたところ。
このひと手間で表面の凹凸が目立たなくなり、仕上がりが美しくなります。
ただ、寒天の層はあまり分厚くすると口当たりが悪くなるので、あくまでコーティング程度で薄くするのがポイント。
四辺を落として綺麗に整えてから、半分は実家への手土産に、もう半分はおせちに添えました。
栗を好きなだけ入れた自分好みの羊羹が食べられる幸せ。
基本の蒸し羊羹さえマスターすれば、あんの種類を変えたり、入れるものを栗から芋などに変えたりできるので、いろいろアレンジが効きます。
冷凍しておけるので、1切れずつに小分けして保存するといつでも食べられます。最高。
栗金団
甘露煮がふるわなかったので、おせちには贅沢に栗オンリーの栗金団を入れることにしました。
おめでたい感じにしたかったので、抹茶も混ぜて咲き分けにして絞りました。
材料
- 栗 好きな量
- 和三盆 栗の正味量の15%
- 抹茶 適量
作り方
- 栗を圧力鍋に入れ、5分加圧する
- 圧力が下がったら栗を取り出し、中身をくり抜く
- くり抜いた中身を裏ごしする
- 和三盆を加え、練りまぜる。
- 一部を取り分け、抹茶で緑に着色する
- 栗生地ひとつあたり15g、抹茶生地10gに計量しておく
- 咲き分けになるように合わせて丸める
- ひとつずつラップでしぼる
栗の食感を残すためにいつもは少し粗く潰すのですが、咲き分け用に抹茶で染める時に色がむらなく混ざる方が綺麗だな、と思ったので今回は裏ごししました。
裏ごししたところです。結構大変でした。
砂糖は和三盆か粉砂糖が良いです。
さっと溶けて混ざるので、生地の水分が均一になります。
粒子の大きい砂糖だと、あとから水分が出てくるのでややベッタリとした仕上がりになります。
計量しているところ。
デジタルスケールにバットを乗せて、ひとかたまりごとにゼロ表示をかけながら作業すると楽です。
成形ですが、まずそれぞれ上記のように整えます。
栗生地は円錐っぽく、抹茶生地はどんぐりの帽子っぽく。
それを合体させます。
抹茶生地を伸ばしながら被せて、境界を指でつまみながらぼかすと咲き分けになります。
自己流なので、もしかしたらもっと良い方法もあるのかもしれませんが、比較的成形しやすく、また完成後の分離も防げるので良かった。
咲き分けと栗生地のみで丸め終わったところ。
あとはひとつひとつラップで絞るだけ。
咲き分けの方は、なるべく境目が真っ直ぐになるよう意識して絞りました。
最後に絞り終わりを人差し指と親指でつまんでねじりながら押すようにすると綺麗に整います。
完成。
ころんとして可愛い。
咲き分け、作業が大変だったけれどやっぱり可愛い。
ただ、食感は粗めに潰した時の方が好みだったな、と思いました。
次は抹茶生地分だけ裏ごしして、栗生地分は粗めに潰すことで対処しようと思います。
あと300g
実は栗があと300g残っています。
うちには羊羹好きがいて、栗蒸し羊羹がとても好評だったのできっと羊羹になるのだと思います。
渋皮煮は自宅で食べたりお嫁に出したりして使い切ってしまったので、また秋のお楽しみです。
栗仕事はやめられない
渋皮煮2種類と甘露煮(今年は割れてしまった)の瓶が完成すると、毎年かなりの達成感があります。
渋皮煮、甘露煮は完成品ではあるものの、またそれ自体もあくまで素材なので、そこからまた何に加工しようか、と考えるのが楽しい。
美味しくて楽しいので、大変だけれど栗仕事はやめられません。
来年は栗饅頭など作ってみても面白いな、と今からいろいろ考えているのでした。